徒然なるままに書き連ねたくなること。師走の寒さに追い討ちを掛けて、気持ちも寒さに沈む思いの編。
事務所の椅子から見える外の世界が普段目にする自分の世界だが、今日は師走の終わりのクリスマスイブの日にしては割と暖かく霜も降りていないので、体感的にはそれほど寒くは感じなく凌ぎやすいかなといった感覚だ。
それに比べて昨日は朝早く遠出をしたためもあるが、バリバリに凍ったフロントウインドウが、その厳しい寒さを物語っていて、その日に起こる依頼者からの申請手続きの案件が、さらに気持ちも寒くするのを予感させていたのかもしれない。
私たち士業の人間は、基本的に、依頼者からの案件を、依頼者の立場に沿って、その納得が行くような結果を出すことによって報酬を頂く訳であるが、行政書士という自分の本分からすれば、予防法務を仕事にする関係上、原則紛争の生じた案件には立ち入ることはできず、相談者から聞き取った内容を、その依頼に基づいて行政官庁に申請手続きを代行又は代理して行うことを業務の本質として、日々ルーティーンの仕事をこなしている。
その意味からすれば、依頼者の聞き取りを基に申請書類の作成を代行して行い、それを行政官庁に提出すれば、自分の手続き業務を全うしたことになり、決められた報酬を得られる流れとなるが、それはあくまで依頼者から聞き取った事実を、そのまま専門家である行政書士が申請書類としてまとめ上げるのが前提なのであって、その一連の過程において、聞き取り事実と違えることを申請書類に盛り込むというのは、やはり、越権行為というか、してはいけない行為なのであろう。
そして、依頼者には、その辺りのことを分かりやすく説明し、今回の申請手続きは、私としては如何なものかと考えておりますと進言したところ、依頼者本人は、「なるほど…それでは…」と、一通りご納得して頂いたのではあるが、契約の相手方の不動産業者からダメ出しがなされて、「そんなことを言う行政書士にはもう頼まずに、もっと手慣れた別な先生に頼んでください。依頼者の満足が行くように、申請が許可されるように申請書類を作成するのが仕事じゃないですか、何を言っているんですかね。」と、こんな内容の会話が、自分がすぐ隣にいてよく聞こえているとも知らずにおっしゃっていた。
結局、自分から辞任を申し出て、申し訳なさそうにしている依頼者にはその旨分かって頂いたが、今回の依頼案件は、士業業務の難しさを、この寒さの中、思い知らされるものとなったが、いくら依頼者の立場に沿うとは言っても、極論すれば、虚偽の事実を行政官庁に申請するのは、場合により犯罪行為にもなりかねないし、決して冒してはいけない一線なのではないだろうか。
ただ、今回の件では、辞任を申し出て、依頼者本人に納得して頂けたから、結果オーライではあったものの、これがもし、どうしてもそれで申請してくれと粘られた場合、果たしてどうだったのか、「ノー」と断言できたか自信があるかと問われれば、この師走の季節に冷や汗が出てくる自分である。
ところで、今朝の番組で、香取慎吾さん扮する「山本五十六」のドラマの予告編を放映していたが、その中で、山本自身は、「アメリカとの開戦は絶対に回避せねばならぬ。」との確固たる信念を有していたにも関わらず、結局は、上層部の命令に従わざるを得なかった苦悩が、「ノー」と言うことの難しさをよく表していた。
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